はだ産婦人科クリニック【札幌市/西区・手稲区】無痛分娩にも対応

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羽田さん通信

硬膜外無痛分娩が常位胎盤早期剥離の予後を改善する可能性について

2021年12月29日 | 未分類 | 

2021年12月29日 水 曇り時々晴れsmiley

2021年の年末の休診期間に突入しました。
外来はお休みですが、入院患者さんは10人超えていて。まだまだ年末年始という気分ではないのが現状です。
お産も今日だけで2人いましてね

予定の出産は明日今年の最後
最後まで気を引き締めて安全に行きたいものです。

年末だし、今年の出産を振り返って///
常位胎盤早期剥離の患者さんが2人いました
10月末と11月初めのお産でした。

常位胎盤早期剥離(早剥)というのは、子宮の中で赤ちゃんとお母さんとをつなぐ胎盤が、出産後にはがれて子宮の外に娩出される生理的なシステムに反して、赤ちゃんが子宮の中にいるのに子宮壁からはがれてしまう病態。
頻度としては、軽症な部分早期剥離を入れると陣痛前から分娩までに100人に1人いないくらい
症状はずっと続く激しい陣痛用の痛みがあるけど、陣痛みたいに波が少ないとか、子宮が板のように硬いとか、出血があるとか
問題点は早剥が起こると、その後の出血がとても多くなり、血が止まらなくなるというもの。
胎盤がはがれた後に血を止めようとして、体中の止血機構が働いて、止血に必要な血小板やたんぱく質(血液凝固因子)が枯渇してしまうことが原因。
ひどいときには赤ちゃんは亡くなるし、母体まで命に係わることも。
胎児においては胎盤がはがれることで、母体からもらっていた酸素や栄養の源を突然止められてしまうので胎児死亡が起こってしまう可能性が高い病気なのです。

産婦人科医としては必ずお会いするけど、一番お会いしたくない病気の一つです。

そんな常位胎盤早期剥離が10月11月と2件立て続けに発生しました。
1件目は39歳、2件目は35歳の初産婦さんで高齢妊娠。
二人とも分娩誘発の途中で急に発生した胎盤早期剥離で、硬膜外麻酔を留置して子宮口が6㎝程度開大した時に胎児心音低下し、回復不能に陥りました。
当院ではほとんどの分娩を日中にできるように計画していたのが幸いして、昼休み中の助産師・ナース総動員で緊急帝王切開を号令して、胎児救命の準備を進めつつ、早剥の特徴である過強陣痛に合わせて子宮口を用手的に手で開いて、何とか経腟分娩に至ることができました。
出産した赤ちゃんは2人とも、臍帯動脈のpHが6.9台と高度のアシドーシスで胎児の苦しかった状態が反映されていました。
当院副院長の迅速な判断で、新生児は小児センターへ搬送となりましとなりましたが、仮死後の回復はよく、元気な様子でした。
母体は2人目が産後子宮収縮不良による弛緩出血で2000ml以上も出血し、救命センターへ搬送になって輸血療法が必要でしたが、大事には至らず3日後には元気に回復し、赤ちゃんが入院している小児センターへ転院。
2人とも本当に無事でよかった

ここで思うことは、2件の早剥で、ともに無痛分娩の麻酔が入っていることで、用手開大で子宮口全開ができて、経腟分娩が可能になってよかったということ。
早剥後には必ず出血しやすく、血が止まらない病態になることを考えたら、出血のリスクを高める帝王切開を回避できたのは幸運だったなぁと思います。
また、マンパワーのない夜中に起こっていたら胎児死亡や母体出血で対応が難しかったろう・・・とも

分娩の危険性を少しでもて低下させるのに、時間通りの計画分娩の補助手段として無痛分娩は有効だし、早剥のような緊急事態に経腟分娩する可能性を上げる手助けになるのではないかと実感しました。

無痛分娩が10%にも満たないと推定されている日本ですが、緊急事態には麻酔って威力を発揮するんだと、やってて思います。
無痛分娩への理解が広がればいいなぁ・・・

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