はだ産婦人科クリニック【札幌市/西区・手稲区】無痛分娩にも対応

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羽田さん通信

HPVワクチン

2018年07月22日 | 未分類 | 

2018年7月22日 日 曇りsad

今日の札幌の天候は、曇り
7月上旬の長雨は2週間ほどでようやく止まり、15日を過ぎたら夏らしい暑さがやってきました
が、昨日と今日はちょっと蒸す夏の北海道です。

この一週間、クリニックはまずますの忙しさでした

ちょっと変わった(?)出産は・・・
37週1日で前からお電話いただいていて「無痛分娩で出産だけさせてほしい」という釧路からの妊婦Kさんがやってきました。
札幌には親戚もないってことで、1回診察させてもらって次の日無痛分娩で出産されました。
実は、2年前に上の子も当院で出産していた歴があったので、今回は「どんな人が来るんだろ?」とかあまり心配せずお待ちしていました。
出産という危険を伴う大仕事を請け負う側としては、いつも患者さんとの関係性ができるまではちょっと緊張感あるものなのです 
(だから多くの出産施設では飛び込みに近い出産はお断りされるんだと思います。)
大ベテラン経産婦さんだけあって、今回のKさんはほぼ予想通りの(少しかかったかな?)安産。
予想と違うのは予想より少し赤ちゃんが小さめだったのですが、当院のまじめな小児科医がしっかり見てくれて元気に入院しています。
病院に来るまで4時間超の道のりだということで、帰り道には十分気をつけていただきたいものです。

さて、話変わって、2週間前の土曜日、ある講演会に参加してきました。
子宮頸がんワクチン(HPVワクチン)の副反応報道によって、「ワクチンの積極的な接種勧奨の一時差し控え」を決めた日本の政策に対して、医学的見地から精査して、医学的根拠がないという報告を公開し、ワクチンを勧めるように声をあげている村中医師(ジャーナリスト)の講演会です。
うちの小児科医と一緒に行ってきました。

今の日本のHPVワクチンの「積極的な接種勧奨の一時差し控え」って・・・
簡単に言うと、副反応とか騒がれているので「国を挙げて打ちましょう!」というのはやめたけど、世界的に見ても副反応とワクチンとの因果関係はなさそうだから、自分で打つと決めた人には、定期接種という名目で経済的には援助しますよ(無料)・・・って感じ。(簡単に言えてない
なんか曖昧な状態が続いています。2013年6月から5年間も。

前の職場で子宮頸がん患者さんを多く診させてもらって、若い患者さんが多くて、治療をしても何%かの人は命を奪われてしまう子宮頸がん。
講演会の話を聞く前から、ぼく個人的にはこの病気がワクチンで予防できるのなら接種を後押しすることに賛成です。
日本より先にワクチン接種がスタートしている国から入ってくるデータを見ても明らかな有効性を示すものが多いので、がん予防の観点からは勧奨ワクチンであることに異論ありません。

そもそもこのワクチン2014年4月に国が勧奨(おすすめ)ワクチンとして定期接種に指定されて無料になりました。中学生くらいの女子のみ。
前職では非定期接種(有料)時代なのにパラパラ接種にきていたなぁと思い出します。
結構痛いらしいです。
で、日本中で800~900万くらいの接種があったらしいけど、今はほとんど接種する人いないんです。

このワクチンの接種推進派と反対派の争いを色々見てると、どちらの言い分もうなずける点はあるのですが、医者として理論的なものは明らかに推進派の意見だと見えます。
マスコミなどで取り上げられているワクチン接種後の局所疼痛を伴った様々な神経症状は、2015年に名古屋市で接種者と非接種者70000人を対象に調査されて、2016年に非公式な形で公になった「子宮頸がんワクチン予防接種後調査」で示された通り、HPVワクチンを打った人 vs 打たなかった人 で、ワクチンの副反応だとされるさまざまな症状(関節痛、呼吸困難、頭痛、歩行障害、手足の脱力などなど24項目)の発生率に差がありませんでした。

副反応とされる症状って、僕も見たことがあるけど、思春期特有の身体症状で、神経に異常がありそうだけど、MRIでも血液でも、神経学的検査(脳波とか)でも異常が示されない病態がほとんどだと思います。
精神発達上、いろいろ難しい思春期に、よく言われるのが家庭や学校なんかでストレスを過大に抱える子供に生じやすいとされる病態。
拒食症やその周辺疾患なんかもその関係疾患だと思います。

親はわが子が痙攣したり、見たこともない激しい症状で苦しんでいるのを見たら、混乱して、病気の原因を探して、そういえば最近接種したワクチンじゃないか!?って思うのもうなずける話。
ですが、ワクチン始まるずっと前の時代から一定の割合で思春期の女子に出ている身体症状だとわかっているのは医療者。
母にしたら自分の子供は目の前で異常を呈している1回きりの存在だったら、何か原因を特定して安心したいというのも十分理解できます。

医療者が安易に?ワクチンのせいとか診断してしまったのはいかがなものかと・・・
医者も自分が見たこともない、しかも検査で異常が見つからない病態が出てきたら、ちょっとした混乱の中で母親と同じ心理に陥ったのかな?と
診療科によっては痙攣様の症状を呈した思春期の心因反応や身体表現性障害の患者さんに会うことはないか・・・

医療で、副作用がない!だとか 手術だったら後遺症がない!(「失敗しないんで・・・」とか)って断じることってとても勇気が要ることなので、なかなかこのワクチン問題が進展しないのも我々医療者の責任ありだとは思います。

ただ、論争はあれど、最終的にワクチン接種を決めるのは患者さんご本人。(子供のことだからお母さんかな?)
結局判断お任せでスミマセン

ワクチン接種者が増えれば、集団的に社会からHPVの感染蔓延を防ぐことが出来るという公衆衛生的な見方でなければ、子宮頸がんは検診で早期発見すれば「死」までは回避できる可能性がある病気。
ワクチンなんか打たなくてもわが子は頚がんにかからなくできるはず・・・っていうのも完全な間違いじゃないと思うんです。
(それより日本人は早期発見のための子宮がん検診に行く割合が低いとも言われてますが・・・)

それよりこの問題でぼく個人的に思うのは、マスメディアなんかで大々的に報道していることが、医学的・論理的に正しいとは思いこまずに、判断してほしいなということ。

似たような一方的なマスコミ報道で、「無痛分娩は危険」みたいなこと言われて今も説明に結構時間を割いているもので・・・
この国の悪い文化(習慣?)だよな~と思っています。

ちなみに わが子は普通にHPVワクチン接種しています

(出典 「10万個の子宮」 村中璃子著より)

“HPVワクチン” への2件のフィードバック

  1. 小松 和貴 より:

    無事帰釧いたしました!
    この度も、お世話なりました。
    今回の出産も無理難題を申し上げて申し訳ないです。
    さすが、羽田先生です。予定通りの時間で安心の出産で本当に安心で出産に臨めました。
    先生の腕もさることながら、看護婦さんの優しさや配慮、小児科の適切な処置のお陰で無事退院出来ました(^^)
    どの面をとっても間違いなく北海道1の産婦人科だと思います!
    札幌に行った際は是非遊びに行きますのでよろしくお願いします。
    皆様お体には十分お気をつけてください。

    • hadasan より:

      小松さん このたびはおめでとうございました!
      さすがのバイタリティーでこのお産も乗り越えましたね。
      無事に釧路に着くまでは・・・と心配も少しありましたが、ホント良かった!!
      また次の機会があればとは言いにくい人数ではありますが、その際はまた声かけてくださいね。
      釧路の先生にもよろしくお伝えください。
      札幌に遊びに来たときはぜひ顔を見せてくださいね(*^^)v

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