はだ産婦人科クリニック【札幌市/西区・手稲区】無痛分娩にも対応

産科・婦人科・小児科(新生児)・麻酔科

羽田さん通信

新聞取材~巷で悪く言われている(?)無痛分娩について

2017年09月13日 | 未分類 | 

2017年9月12日 火 雨 wink

秋雨の季節がやってきました。
今日は一日中シトシト冷たい雨が降り続く雨模様。
気温の低い北海道は空気の中の水蒸気が少ないこともあって、バケツをひっくり返したような大雨は稀なんです。

この季節、北海道は雨が降るたびに気温が1~2℃さがり、数日ごとに冬に向かっていく印象です。

さて、2週間前に当院へ地元の大手新聞社から取材依頼がありました。
テーマは近頃巷で悪く言われている無痛分娩について。
実際に行っている医師の生の声を聴きたいというものでした。

記者さんは女性で1児の母とのこと。
新聞やネットで流されているような無痛分娩についての間違った情報を正したいという意見をお持ちのようでした。

取材前に見せてくれた資料
この1か月で報道された朝日新聞・毎日新聞はじめ、京都・大阪・神戸あたりで生じたここ数年前からの無痛分娩にかかわる医療事故の記事。
各種新聞曰く、概説すると
①無痛分娩で死者や植物状態になった患者さんがいる。2010年以降14人が死亡した(から「危険」との論旨)  
②事故が起こったのは1人の医師がやっていた分娩施設である→一人の分娩施設は危険といった論調(特に朝日新聞はちょっとね…) 
その他にも、
③2016年度の日本の無痛分娩を実施率は6.1%。14年度は4.6%、15年度は5.5%で毎年増えている。
④無痛分娩施行施設は6割が規模の小さい有床診療所であること
なんていうデータも

そこで今日のテーマは、当院で普段行っている無痛分娩方法でマスコミ報道を考察してみたいと思います
無痛分娩の悪い点は上述の様にさんざん書かれていますので、今日は良い点を中心に。
硬膜外無痛分娩が万能だ!とは言ってませんのであしからず。

まず①無痛分娩の危険性という点ですが・・・
無痛分娩(硬膜外麻酔を使用した)はぼの医療行為とも同じで完全に安全で、合併症がないとは言えません。
しかし!年間40名前後の妊産婦死亡が出ている日本国で、その死亡者を数えたら無痛分娩をしていたひとが6年間で298人中14人(約4%)って… 
前にも書いたけど非無痛分娩が284人(約96%)
施行率に照らし合わせたらかえって危険度は低いのでは?

当院で実際にやっていても思うことは(取材のときにも同じような話をしたのですが紙面は限られているでしょうから~
麻酔がかかった後で分娩中何らかのトラブルが発生して緊急帝王切開!となった時の対処が、非無痛分娩の出産より格段に早いと実感します。
出産はいつ何時急変するかわからない。
その時、母児ともに救命するのに一番大事なのは、どれだけ時間をかけずに赤ちゃんを出してあげるかってことだと思うんです。その点については絶対的に有利。
当院の様なほぼ一人医者のクリニックでも緊急帝王切開決めて20分前後では娩出にもっていけるのが助かります。
(あ、当院小児科医はいますよ 呼んだら来てくれるベテラン産科医=父も
産科の医者が緊急帝王切開決めてすぐに取り掛かれないとしたら一番の原因はマンパワーが足りないということ(例 麻酔科医が来ない 看護師が足りない 助手の医者がいないなど)
その点はホント硬膜外ありがたや~ってことがたまにあるんです。

それに付随して、骨盤位経腟分娩(骨盤位牽出術)や帝王切開後経腟分娩(いわゆるVBACとかTOLAC)の場合も、分娩進行中に多少緊急帝王切開になるリスクが高いとされている分娩に対してもダブルセットアップ的な視点から硬膜外麻酔は有力な命綱になりうると思います。

そして分娩後の会陰裂傷の大きいものや弛緩出血、癒着胎盤などの産後の出血性のトラブルについても、あらかじめ患者さんの痛みを取り除いているということが、どれだけ止血処置をやりやすくしてくれていることか…
やってない人(施設)にはわからないからな~

なんだか今日のブログ、大作になってしまいました。
明日続き書きます。

“新聞取材~巷で悪く言われている(?)無痛分娩について” への3件のフィードバック

  1. 岩井小織 より:

    羽田先生、こんにちは!
    いつもお世話になっております。
    院内にあったプラセンタ治療の冊子をみて詳しくしりたいです。
    特に更年期年齢の私にはどのような効果が期待できますか?
    今度ご相談に行きたいと思います。
    よろしくお願いします。

  2. 37週で逆子 より:

    羽田先生、お久しぶりです(o^^o)
    37週の健診で逆子が判明し、てんやわんやの出産になった山道です。
    そのてんやわんやの中で生まれた次女も、この1年大きな怪我や病気もなく、先日1歳の誕生日を迎え、毎日「人生ってサイコー!」と言わんばかりのドヤ顔で歩き回っております。(笑)

    無痛分娩経験者ではないですが、私のように逆子で外回転術からの緊急帝王切開になった場合でも、硬膜外麻酔を事前に入れていただいたおかげで、すぐ対応してもらえたのではないかな?と思っています。経過が順調でも、生まれるまで何が起こるかわからないのが出産なのだな、と前回の出産で身をもって実感したので。
    リスクのことを聞くとなんだか怖くなってしまいますが、どんな治療にも少なからずリスクはあるわけで…。(そして、お医者様はリスクもきちんと事前に説明しなくてはいけないですもんね)
    最近の「無痛分娩はとにかく危ない!けしからん!」的な記事を目にすると、問題すり替わってるよな〜、と複雑な気持ちになります。

    そういえば、余談ですが、この度3人目を妊娠しまして、来年出産予定です。できればもう少し時間を空けたかったのですが…。
    本当はまた先生に取り上げていただきたかったのですが、里帰りはせずにこちらで出産することにしました。
    穏やかに、とはなかなかいかない3回目の妊婦生活ではありますが、ぼちぼち頑張ります。

    • hadasan より:

      山道さん お久しぶりぶりです!コメント返しが遅くなってしまい申し訳ありません(≧◇≦)
      子どもさんも大きくなったんでしょうね~ もう1歳ですか!?
      山道さんの分娩はホント忘れられない経験です。
      お産は10人いれば10通りで何一つ同じものはないと思いますが、あのときはホントに「どうするのがいいのだろう?」と考えさせられました。
      方法はいろいろありますが、結果、赤ちゃんが元気に誕生してくれてよかったよかったと思いました。
      元気に出産するという大目標を達成してもらえただけで「幸い」と思っていただければ僕たちの仕事の原動力になります。
      たまにいただくコメントにも励まされます!!これからもたまにメッセージいただけたら嬉しいです。
      次回の出産、ベテランさんは大丈夫でしょうが、元気に立派な赤ちゃんを産めるようにお祈りしています。

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