無痛分娩でよかったと実感した高齢+早剥患者さんの出産
2017年12月16日 (土) 雪のち曇り
2017年も残すところ2週間。
今年は11月末から雪が積もって、少し早めに始まった感のある「冬」ですが、12月中旬になって、普段通りの景色になったような気がします。
この時期の札幌、道は凍ってツルツルで、路肩にはまだ小さい雪山。
広い札幌の道路も2車線が1.5車線になって、どこもノロノロ運転で渋滞しています。
そんな中、昨日12月15日に当院の忘年会がありました。
琴似のホテルYで。
当院から夏なら10分強の琴似ですが、今なら裏道抜けても20分以上は当たり前。
今年こそは遅れないようにと診療後に向かったのですが、繁華街はどこも忘年会でいっぱい。
3分ほど遅れてしまいました
当院の忘年会、今年も幹事さん大活躍で大変盛り上がりました
詳細について書くと長~くなるのでまた別の機会に・・・
そんな忘年会ですが、職員有志の余興のほかに毎年僕も一仕事しています。
1年を振り返ってのプレゼンをするのですが・・・
初めの作業は、データまとめ。
若め助産師Tさんはじめ、皆さんの協力で今年1年間の出産・手術・流産などのデータを集計。
それをもとにグラフ作成やちょっと事件的症例をリストアップ。
まとめて、スライドにするのに寝ないで2日間はかかりました。
(いつも職員にはもっと早く準備するように言われるのですが・・・おしりに火がつかないと燃えない性質でして)
10月の患者さんで「助かった~!」と胸をなでおろした一件があったので一つ。
(11月ころブログ記事にしかけていたのですが尻切れトンボで未発表になっていました)
患者さんは44歳で3人目の妊娠でした。
年齢よりもお若く見えて、前の妊娠から9年もたっていて、体力的な不安から当初は妊娠継続も迷っていた方でした。
妊娠継続を決意して、妊婦健診は大きな問題もなく経過していました。
妊娠後期に浮腫が少し目立ってきた程度でした。
年齢的なことや児の大きさから37週の内で、無痛分娩下に分娩誘発方針とし、
8:40入院し、9:00メトロイリーゼ(水風船)を挿入し子宮口拡張し、10:00から促進剤の点滴開始していました。
14:25 子宮口6㎝開大の時点で、突如500gの多量出血を認め、子宮破裂!??羊水塞栓??胎盤早期剥離?と考えて、帝王切開になるにしても経腟で頑張れるにしても、との思いから緊急硬膜外麻酔を留置。
5分くらいで麻酔を終えて診察してたら胎児心音が急激に悪化(高度徐脈)し、麻酔が効いたところで子宮口を用手開大しなんとか8㎝。
胎児心音は変わらず60-70で下がり、これは何としても赤ちゃんを出さなきゃならない状態に
(お産って何があるかわからない!)
「帝王切開用意して!」と叫びつつ早く産める方法として、子宮口8㎝ながらも吸引カップをかけて吸引分娩とする方針にしました。15:00
全開前のカップ装着はとても困難でしたが、なんとか押して引いて、出血事件の35分後15:08に経腟で娩出することができました。
出てきた胎盤の所見などからは分娩最中に常位胎盤早期剥離が生じたものでした。
(恐ろしや~)
今回のケースの良かったところは、①麻酔が効いた後に苦痛少ない状態で必要に迫られてだけど、荒い急速遂娩を行えたこと。
②人手のたくさんいる日勤時間帯であったことなどが考察できます。
人手の少ない個人病院では帝王切開の準備して、どんなに急いでも娩出まで30分から60分くらいかかってしまうもの。
今回はスタッフが力を合わせて経腟分娩できたのはホント幸運でした。
今回のようなケースが高齢出産ならみんな起こるわけではありませんが、年齢とともに分娩時の急変が起こるのも多くなるのも事実。
年齢にかかわらないけど、たまに起こるお産中の急変には硬膜外無痛分娩、いい方向に働くことがあるなと実感できるお産でした。
Kさんお疲れさまでした
忘年会の資料作成最中に こんなことや あんなことを思い出しちゃうので 資料ぎりぎりになっちゃうんですよね~
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