PIH 妊娠高血圧症候群と分娩
2018年2月28日 水 雪
2月もいよいよ最終日
今年の6分の1が終了したとは・・・
明日からは一気に雪解けが進む3月
天気予報では「とんでも低気圧」が来ると言ってますが・・・
この低気圧が過ぎたら春に一直線!
だといいんだけど
さて、2月のお仕事から
今月は20件くらいの出産でした。
最近結構安定の数字です。
中でちょっと気を遣う出産が続いたのが、お題の
妊娠高血圧症候群(PIH)の出産でした。
PIHというのは、2004年くらいまでは「妊娠中毒症」って言われていたもので、産婦人科の教科書にも必ず出ている病気です。
1収縮期血圧140/拡張期血圧90のいずれかを超えた高血圧がある。2浮腫がある 3蛋白尿がある のいずれかがあったらその定義に当てはまります。
血圧が高いだけだと、患者さん自身は自覚症状もなくて、「何てことない」と思ってしまうかもしれないんだけど・・・
危ないのは知らず知らずのうちに重症化したり、いろいろな病態の原因になっていったりすることです。
考えやすく(?)言うなら「高血圧=体の血管の痙攣」が起こっていて、いろんな病気の原因になっていくってことが、妊娠後期に特に起こりやすいのです。
実例を挙げるなら
①妊娠高血圧症候群(PIH)ですよと言われてたら、いつの間にか、胎児が発育が止まっていた。ひどい場合は仮死になってしまったり、死んでしまったり
②PIHの患者さんが上腹部が痛い!って受診に来たらHELLP症候群(肝機能異常・溶血・血小板減少が生じる症候群)が完成して血が止まらない状態になっていたり
③頭の中で血管が攣縮しすぎてけいれん発作を起こしていたり(子癇発作)
④まだ陣痛も来ていないのに胎盤がおなかの中で勝手にはがれ始めて、胎児が死んだり、母体の止血機能が破綻したり(常位胎盤早期剝離)
⑤PIHで分娩時に陣痛でさらに高血圧に陥り、高血圧性脳出血やくも膜下出血になってしまった
などなど、ひどい例をあげればきりがないくらい、産科医にとっては、軽症ならばなんとかやり過ごして妊娠を終わらせたくなる疾患です。
分娩方法では、帝王切開になってしまう割合もかなり高い
2月に初産・経産と様々でしたが月の後半に3件連続でPIHの経腟分娩がありました
共通しているのは、
34週を過ぎてから収縮期血圧が徐々に上昇し、140を超える血圧になった患者さん。
35週くらいから降圧薬を飲みながら血圧コントロールして、少しでも経腟分娩の可能性を上げるため、分娩時は37週に入ったらいち早く計画を組んで、硬膜外無痛分娩を行いました。
中には普通分娩希望と言っていた方もいたけど、疼痛と血圧コントロールに強い効果があり、緊急帝王切開への迅速な移行が可能などの点から無痛分娩を勧めて、無痛にした患者さんもいました。
結果は、無事に皆さん1日勝負で分娩になりました
ただ、赤ちゃんは小さい子が2名
分娩後も哺乳が弱いとか、新生児黄疸の診断になるとかあったけど、
中には見直しすれば34週から発育が止まったいたな~と、ちょっとゾクッとしました。
もっとお腹の中においてたら、上の①~⑤みたいな事件起こってたりして・・・と悪いほうに考えたりして
産科は結果が何よりの科
無事に生を受けてくれた、頑張った赤ちゃんと お母さんに 心からおめでとうです
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