帝王切開・救急搬送・・・ 6年目の船出は荒れ模様
2018年11月12日 曇り時々晴れ
手稲山の雪化粧はだんだん薄くなり、もうすぐスッピンってくらいに溶けていそう。
11月中旬が迫っても夜はこの時期にしてはちょっとぬるい様な風が吹き、少しだけど雨が連日道路を湿らせています。
さて、11月1日に満5周年を迎えた当院。
11月2日にテイネの焼肉屋さん「Thank you(さんきゅう)」で「5周年ありがとう会」を開催したその日から、今年一番の荒波が当院に向け来ているようです
11月2日(金)夜には5周年感謝会を計画していたんですが、そのお昼に誘発3日目の妊婦さん。
子宮口6㎝までは開いて、進行を見守っていたところで、突然胎児心拍が遷延徐脈になって、そのまま緊急帝王切開
この時は普通分娩の頚管熟化不全があったので誘発していたのですが、若い妊婦さんだけど妊娠前よりも体重が・・・
普通分娩からの緊急帝王切開ということで、麻酔導入から(無痛ならすでに麻酔は入った状態)開始しなくてはいけないのに胎児仮死
ホントお昼休みの人手の多い時間がで良かった~
人集めしている間に麻酔導入して硬膜外と腰椎麻酔は完了。
手術室移動したらすぐに手術開始出来て助かりました
赤ちゃんは元気に出生
11月5日(月)子宮内膜症の手術既往あり、子宮筋腫合併妊娠の患者さん。
無痛分娩で分娩誘発している最中に、時々赤ちゃんの心音が遅発一過性徐脈出現。
(陣痛の起こるタイミングより遅れて徐脈がでる波形で赤ちゃんの元気がない状態が疑われます)
せっかく無痛分娩にして経腟分娩をしたいと言ってくれていたので頑張ったんですが、子宮口6-7㎝開大で分娩進まず2時間経過。
その時!赤ちゃんの心音が突然60台まで下がっちゃって、これまた緊急帝王切開に
すると切開したお腹が、内膜症の術後の影響と思われる癒着で予想以上に強烈な癒着・・・
空洞であるはずのお腹の中がくっついて、子宮と腹壁が一体化しちゃってました。
何とか赤ちゃんを通す道だけは作れましたが、剥がすとこ剥がすとこ小さな点状出血が集まってきて見渡す限りの出血
そこに子宮筋腫が邪魔して子宮を閉じにくい・・・
このお腹もう一度切開して子宮とるなんて厳しいのもあって、可及的速やかに子宮筋腫喀出術を施行し閉創することにしました。
が、どう考えても輸血は必要な状態で、総合周産期センターでもある市立病院の救命センターと産婦人科へお世話になることになりました。
11月12日 続くときはとことん続くもの・・・
37週で無痛分娩希望にて誘発開始した妊婦さん。
もともと血液型に特殊性があって、輸血となるとちょっと厳しいなと思うところがあったので、出産前から鉄剤内服などで血を濃くして準備していました。
硬膜外麻酔がも入る前に突然胎児心音低下。
これまた回復せず緊急帝王切開へ!
ところが麻酔がまだ入っていないので、人で集めて手術室の準備をしながらLDR(陣痛-分娩室-)で準備と麻酔2手に分かれて麻酔導入。
うまい具合に人員がそろっていたので、麻酔導入終了とともに緊急帝王切開が開始され、緊急手術決定から25分ほどで元気な赤ちゃんを娩出できました。
ですが赤ちゃんのpHは6.9点。
当院小児科医がしっかり見てくれましたが、念のため近隣の小児センター・市立病院へもコンサルトし、急変なければ当院で経過観察を・・・とのことに
幸い赤ちゃんには何事もなくホッとしたのも束の間・・・
産後2時間でお母さんの裾から多量の凝血塊が出ています!との報告を受け、外来もそっちのけで(申し訳ないけど)飛んで行ったら、恐れていた弛緩出血が~~
計測上はその場で1.4L(手術では羊水含めて700mlほど)
顔色みても厳しいなと判断し、またまた市立病院へお世話になることになりました。
これらの経験から
1、産科的に緊急帝王切開=母児救命の観点からは 硬膜外麻酔があるのとないのでは、大違いだな~と実感しました
2、なんといっても人手が大事! 当院スタッフみんなが母児の命を守ることに全力で向かってくれてありがたいな~と感じました。
3、全くもってお産はどうなるかわかりませんが、バックアップしてくれる基幹病院があってこその一次医療機関だともつくづく感じました。
ちょっと疲れがたまってきましたが、これからも絶滅危惧種の産科医(分娩施設)として頑張らねば!と思い新たにしております。
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