産後出血による母体搬送
2024年12月24日 水 晴れ
連日寒~いけれども雪が少ない今年の12月の札幌。天気は晴れていますが気温は今日も氷点下。白いクリスマスイブを迎えています。
先日当院では大忘年会も盛況のうちに終わって、年内の病院行事はこれでひと段落。あとは年末に向けて、何も起こらないようにお祈りするばかりのクリニックですが・・・
年末までカウントダウンの本日、産後大量出血による母体搬送の一件がありました。分娩まではちょっと時間がかかった程度で、大きな異常事態はなかったのですが、出産して直後に1Lを超す多めの出血があって、お股の傷を縫ったり支給を圧迫して血を止めようと頑張っていたら反応よく止まったかと思ったのですが、分娩後1時間後から2時間にかけてまた多めの出血を認め、診察をしたら子宮の中から血の塊がゴロゴロ出てきて、血圧は下がってしまうし、点滴も入らないくらいに血管の中の結空きが見るからに減少してしまうショック状態。出血量はその時点で1.7Lを数え、ここで粘って当院で看るよりも、高次医療機関で診て貰う方が患者さんの安全を確保できるだろうと判断し、救命センターのある病院へ搬送させてもらいました。生んだばかりの褥婦さんを赤ちゃんと引き離すのは、とても心苦しい決断なんだけど母の命には変えられない。搬送の時にはいつも苦渋の決断を迫られた気がします。
そういう搬送が今年は今日で4件目。今日まで437件の出産があったのでだいたい1%
ほとんどの産褥母体搬送の理由が「産科危機的出血」といわれる、産後に子宮の収縮が悪くて起こる「弛緩出血」や大きな「会陰裂傷」、子宮の出口が避ける「頸管裂傷」などが単独または絡み合って起こったことが原因になります。毎年1%くらいが産後出血で搬送になって輸血をしたり、血管内から子宮の血流を抑制する血管側線術、更に重症な場合は子宮を摘出したりすることが主な治療です。
中でも輸血はほぼ必発。個人病院の一番の弱点も輸血で、血液センターから血液を送ってもらい、交差試験で結果を待ってなんてやってたら4・5時間かかるのが関の山。当院でもかつて1度だけ輸血の症例があったのですが、いっそのこと搬送したほうが早く患者さんに治療できるということが判明したのです。
今年は少ないかなぁなんて思っていたら、やってくる出血事例。何はともあれ、元気になって帰ってきてくれることを願うばかりです。
あと、ちょうど忘年会で調べたばかりだったので、今年の新生児搬送についても書こうと思っていたのですが、長くなりそうなのでまた次回(;^ω^)
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