はだ産婦人科クリニック【札幌市/西区・手稲区】無痛分娩にも対応

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羽田さん通信

ちょっと心配したけど・・・最小のTOLAC

2024年07月15日 | 未分類 | 

2024年7月15日 月曜 海の日

巷は土曜を含めて3連休。熱い夏の日差しに、良い天気が続く北海道。いわゆる行楽日和なんでしょうね

連休最後の月曜日ですが、久しぶりに僕も遠出して来ました。家族と一緒に積丹まで。分娩呼び出しも考慮に入れて、僕の「遠出」範囲は1時間半圏内に決めています。札幌近辺も最近は高速道路あ伸びて、与一まで40分。朝早くなら積丹までも1時間ちょっとでいけるようになりまして・・・この時期しか味わえない海の幸を目的に、早朝に出発して昼を目指し、食べたらすぐ帰る(;^ω^)弾丸小さな旅でした。天気も良くて少し気分転換になりました。

まあ、最近の院内の仕事の話

今月頭に今年9件目のTOLAC(既往帝王切開後経腟分娩試行)がありました。患者さんは2年半前の初めてのお産が帝王切開の20代のSさん。帝王切開の理由は当時のSさんが検査でウイルス性疾患が見つかって、赤ちゃんに経腟分娩だと感染してしまうの可能性があるからと帝王切開を選んだとのこと。ただ、Sさんとても小柄で身長142㎝の産婦人科的には低身長に当てはまります。産道が狭いリスクも考えなきゃならない状況でした(-_-;) だからそういうことも含めて帝王切開になったのかな?と・・・詳細は不明な点もありました。

初診に来られた時からTOLAC希望とのことだったので、Sさんのリスク評価をして、「できそうらトライしましょう」とお伝えし妊婦健診に入りました。安請け合いできないのがTOLAC・・・当院ではいつも30~32週で経腟分娩トライするかしないかを判断しているので、Sさんも御多分に漏れず、厳しいかな~と心の中で思いながら健診。週数が進むにつれ赤ちゃんの発育は小さめでしたが、TOLACなら大きい方が心配だなくらいに考えてました。

いざTOLACするかしないかを判断する32週。赤ちゃんは小さ目ながら順調に骨盤の下の方に降りてきていて、低身長の狭骨盤じゃないかも?と思う所見でした。ここまで小柄な患者さんのTOLACをやったことがないこともあって。ちょっと自分の診察所見と判断に疑いを持ちながら、TOLACしてみましょう!と決断。正期産に入って、少しでも通れる可能性の高い日「37週0日」を分娩誘発予定日として組みました。

36週3日の朝、「破水した」と連絡あり、病院について診察したら、しっかり破水で、陣痛はないものの子宮口の所見は進行あり。破水したってことは赤ちゃん大きくなる前にTOLACするしかないとの神様の思し召し!?と理解し、翌日36週4日の朝から慎重に、陣痛促進剤を開始。普通の誘発分娩なら30分おきにジャンジャン増量する促進剤も、胎児心音とにらめっこしながらゆっくり増量。するとお昼には、児頭はますます下降してきて、ジワジワ痛みも増強。当院で決めている麻酔タイミング「子宮口4㎝開大」+「陣痛増強」を満たし、助産師さんから「麻酔できそうです」と報告を受け、施行しました。それが12時45分。

13時前から麻酔開始し終了後13時10分には子宮口は8㎝。さすが破水の経産婦さんというスピードであっという間に全開。痛みは引いて、踏ん張るか休むかコントロール自由な状態にはなったものの、急な進行で、立ち合い分娩希望の旦那さんを待つような形になって、「いきまないでね」なんて待ってたら、赤ちゃんは子宮に押されて下がってくるし、同時に苦しいサインも出始めちゃって、急がないとダメか・・・と思ったところで旦那さん登場。赤ちゃんが横向きで心音も良くないし、ここにきて子宮破裂しても困るしとの判断で、吸引分娩方針としました。回旋を直しながら13時34分無事に経腟分娩になりました。

TOLAC(成功したからVBAC)は産後もちょっと慎重に見ないといけない。内診とエコーで子宮破裂していないかな?と検査し、大丈夫そうなことでようやく一安心。赤ちゃんは2000gを切る小ぶりちゃんで念のため近くの周産期センターで管理をお願い。小さかったことがうまくいった要因の一つかとも思うけど、結果元気に緒まれてくれてよかったと思いました。

今回のSさんの件で言えることは、お産は10人10色。先入観で決めつけなくてうまくいって良かったな~ということ。たまたまうまくいっただけと指摘されそうだけど、大事なことは①TOLACの判断は慎重に!先入観はどうしても入っちゃうけど、しっかり診察所見を評価して、方針決定すること ②何よりも安全に進めるには?という問いを繰り返し、マンパワーのある時間帯に、麻酔を含めダブルセットアップ的な緊急帝王切開の準備も大事だなと感じました。

何でもかんでもTOLACやりましょう・・・という意見ではないことだけはご理解いただきたいと、添えておきます。

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