はだ産婦人科クリニック【札幌市/西区・手稲区】無痛分娩にも対応

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羽田さん通信

「痛み」について考える 頭部外傷の経験から

2024年05月30日 | 未分類 | 

2024年5月30日 木曜 曇り

6月直前になって肌寒い日が続く北海道。明日で5月も終わり。例年町では小学校が運動会を開催している頃で、カンカン照りの日差しの下、暑いなぁ~と感じる季節なのに、なんだか今年は違うみたいです。

さて5月のある日、個人的な事件が起こりました。

分娩を平日限定で計画している当院。今年のGWも全部って訳にはいかないけど、GWの5月3日以外は計画分娩を入れずに職員の連休づくりに注力しました。

そんな5月3日の夕方。天気はとてもよく、行楽日和でした。

入院患者さんは、連休前の分娩集中週間の名残でたくさんいたけど、連休中の最後の分娩予定者も無事終了して、いよいよ僕もGWに突入!どこにも行けないけど、たまった書類整理したり、ちょっと気を抜いて我が家のワンコ(大型犬)と遠くまで散歩に出かけたり、何しようかな~なんて考えて、まずは散歩からと動き出しました。

5月の強くなってきた西日を浴びて、2㎞半ほど離れた公園までワンコと散歩(僕はチャリで距離稼ぎ)して、帰宅したその時。いつもの行事でわが子(犬)は犬小屋に入りたくないと、ひと暴れ。一通り付き合ってリード(大型犬の為我が家では鎖)をつかんで逃げ回り、最終的には僕と綱引きになります。これいつもの事。綱引きはいつもいい勝負だけど、最終的には僕が勝利していやいや檻の中に入るハズでした・・・

ところが今回の綱引きはなかなか手ごわい。しかもわが子は、妻が大事に育てているチューリップの花壇に向かって、全力で僕を引っ張っていく緊急事態( ;∀;) たまらず全力で引き返したその瞬間!わが子はパッカリ口を開けて、鎖を放したもんだからさあ大変。たまらず僕は0.9tの全体重が後方に一直線にかかってしまい、尻餅つく!?と思ったところで、背にしていた我が家の壁に後頭部から激突してしまいました。

「このやろ~!何するんだ!?」って、よろよろ起きてわが子に詰め寄ったその時。背中を温かいものが流れていくのを感じ、何だ??と思って首元に手を当てたら、ぶつけた後頭部から大量に流血し、血のりがべったり。首から背中にかけて殺人事件みたいでした。

我が家には妻も子供も買い物に出かけていて不在で、頭からは大量の出血がボタボタ落ちて、服は血だらけだし、我が家から20m離れた病院に助けを求めに行きました。現場から病院裏玄関までの血痕を残して。

ナースが夜勤と日勤の送り時間であったことも幸いして4人のナースが居てくれたけど、僕見てびっくり(するよな~)。直ちに脳外科の救急外来に受け入れ依頼の電話して、緊急受診という運びになりました。

脳神経外科の救急外来では当直の先生が、「出血はだいたい止まってますね。ただ再出血に備えてステープラー(医療用ホッチキス)で傷を合わせておいた方がいいかもしれませんね。」と優しく迅速な対応。その勧めに僕も「やってください」と即答。「少し痛いけど、すぐに終わりますが局所麻酔はどうします?」との質問。

普段から患者さんに「痛みは心から来るもの」「世の中に痛みで死ぬことなんてない」「怖がるから痛みは強くなるんだから」・・・などと陣痛を前にした妊産婦さん達に話している僕が、患者さんになったからと言って、有限不実行ではいけない!と思い「麻酔なしでやってください」と言いました。心では痛くない痛くないと唱えるのも一瞬。何だか担当の先生は嬉しそうな(気のせい?)様子で、容赦なく僕の後頭部にステープラーを「バツン、バツン」って2発。「ぎゃっ」て声に出そうなのを飲み込んで我慢した後も、傷はジンジン痛みました。痛いは痛いけど、心に言い聞かせることと、この痛みの必要性を己に納得させることで耐えられたような気もしますが・・・

広辞苑第7版によると  「痛み(傷み)」とは⓵(病や傷などによる)肉体的な苦痛 ⓶悩み。悲しみ ⓷物質的、金銭的な損害 とあります。僕ならここに「精神的な影響を強く受ける」とか付け加えたくなるところですが、今回の患者体験を通じて、痛みに恐怖する気持ちを何となく味わえていい経験になったと思えるし、痛みを乗り越えるには、心で痛みの必要性やその後の効果、痛みの程度を客観的に分析することなんかが乗り越えるコツなのかなと考えたりしました。

ただ、「頭の無麻酔ステープラー」と「陣痛」を比較したら、僕から見ても「お産が勝ち」だとは認識していますので、今回の体験から、陣痛を乗り越えようとする妊婦さんの乗り越える方法で何とか力になれないかな~と改めて思いました。ホントに痛みの源は「恐怖」だったり、痛いよ~などという「情報」から来る「心」だと再認識しました。

これからも痛みをコントロールする仕事を真摯に取り組んでいこうと思います。

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