2024年通常業務終了 今年はやや多かった新生児搬送の話
2024年12月28日 土曜 晴れ時々曇り
寒いけど雪が少ない年末を迎えた札幌。本日をもちまして当院の今年の外来通常業務が終了いたしました。大過なく今年の外来を終えられたのも皆さんのおかげです。ありがとうございました。
一応年末の臨時外来診療は30日と1月2日にも予定しておりますが、6日間の年末年始の休業を待てない臨月の患者さんが中心の外来で、お産については明日の分娩まで予定があり、年越しの入院患者さんは今年は5・6人は残りそうな状況。決して休めるわけではありません(-_-;)
この1週間、年末の連休に向けて計画分娩をみっちり組んだこともあって病院は多忙でした。さらに今年は4件しかなかったと書いた産後出血の母体搬送がさらに1件(ブログに書いたから言霊で・・・)あって、慌ただしさマシマシな状態のフィニッシュになりました。
前回から書こうと思っていたことでもありますが、忘年会の僕からの「余興」で今年を振り返ったデータをまとめていて、この1年分娩数は明日の1件でたぶん444件。そのうち新生児搬送が21件あって例年に比べて多かった印象でした。
新生児搬送の主な理由は、新生児一過性田呼吸などの呼吸障害が最も多く、他に破水などから早産になって体重が2000gくらいでしばし経過観察が必要なケースや、無呼吸発作が続くものを大事をとって検査目的に転院したり、赤ちゃんが吐いたものに血液が混じる消化管出血疑いや、ウンチが白い胆道閉鎖の疑いなど様々。当院の場合は新生児の搬送の要否を、小児科の副院長が判断して、「怪しきものは調べる」といった対応なので少し多くなったかなと思います。搬送先も近隣のK病院に12件、小児センターに4件、市立病院に2件、T病院へ2件といった感じで、外科的治療の可能性と重症度などで搬送先を考えお願いしているのが札幌市の実情です。
新生児搬送における産科的影響を考察すると、高齢出産や低身長・肥満・妊娠高血圧症候群や妊娠糖尿病といったリスクの高い分娩では、患者さんが無痛分娩にしてでも下から(経腟分娩で)生みたいという気持ちで当院を選んできてくれていると思うので、できるだけ経腟分娩で出産してほしいと考え、37週のうちに分娩を計画することが多いのも多少影響しているかもしれません。
でも、経腟分娩の成功か失敗か、安産か難産かに影響する3要素(娩出力・娩出物・産道)のうちコントロールできるとしたら「娩出物」の大きさくらい。週数を待って胎児が大きくなると経腟分娩の成功率は下がるし、早すぎの早産を作るわけにもいかない。そう考えるとリスクの高い分娩は、「経腟で産む」という目標に向かって、37週という正期産の時期を超えたのであれば早めに計画しているのが当院の現状です。
その結果、高次病院にお世話になるケースが数%あることはもう少し改善したいところですが、ここ4年間5%未満の帝王切開率で経過し、経腟分娩を目指す妊婦さんの希望にはできるだけお答えできているかと思います。(もちろん長期的な赤ちゃんの元気が大切で、赤ちゃんを見てくれる小児科の力が大きいです)
あと、新生児搬送になってしまうと、母児分離のような状態になってしまうことはなるべく避けたいと思います。でも、赤ちゃんの命には変えられないので・・・。ついこの前のコロナ下で、日本中がそれまで大事にしていたはずの「母子関係」を、大して大きな被害もないのに、立ち合い禁止・面会禁止とやってきたことを考えると、新生児医療も変わったのかな?なんて感じてしまうのは僕だけではないはず。
当院での「今の取り組み」がベストだとは断言できませんが、これからも妊産婦さんや赤ちゃんやお父さんを含めた家族にとってより良い周産期医療を提供できるよう模索し、改善し、取り組んでいきたいと思います。
あと数日 今年も頑張らねば
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