帝王切開の波
2024年8月12日 月 振替え休日 晴れ
暑い夏がやってきましたが、今年の8月は曇りや雨が多くて少し涼しいような・・・。と思っていたら朝から手稲は34℃。台風も近づいているようで、あと少し真夏を味わえると喜ぶべきか。このお盆が終わったらあっという間に寒くなって、冬を感じる北海道。今年も後半戦かぁとか先のことを考える季節になりました。
さて、本日は山の日の振替え休日で外来診療はお休み。ですが、今週は14/15日も当院はお盆休みの為、計画分娩でお産を入れられる日が少ないので今日も分娩やってます。待ち時間中。
この8月の上旬の仕事の話ですが、8月7日までの1週間で3件の帝王切開が集中しました。当院としては珍しいケース。この3件で今年の帝王切開は11件目。だいたい4%弱は例年通りです。今月の帝王切開のうち1件は前回の出産が帝王切開で、今回も帝王切開を選んだ予定帝王切開の患者さん。後の2件は誘発3日目にして全く進まない分娩停止と胎児機能不全(ちょっと昔は胎児仮死と言いました)でちょっと緊急性ありでした。大病院でたくさんの人で取り組むのとは違って、個人病院で、帝王切開が続くとそれなりに体も疲れは残るんですよね(-_-;)
日本の帝王切開率が5年くらい前のデータで、当院のような有床診療所の分娩施設で17%。分娩取り扱い病院で27%が平均だと発表されてました。それに比べるとほぼ無痛分娩の当院の帝王切開率は低く、一般的に言われている「無痛分娩は帝王切開率を下げる」というのは事実だと思います。周囲の産婦人科の先生たちからは5%切るってのはすごいことだと言われることもありますが、それは当院の計画分娩が、平均で37週4-5日と早く、妊娠高血圧・高齢出産(特に初産)・妊娠糖尿病・低身長(<150㎝)・巨大児疑い・肥満合併の妊婦さんは、できるだけ経腟分娩の可能性を高めるためにも37週に入ったら早々に計画していることも大いに関係しているように思います。その中で、月に1人平均で新生児搬送になることがあります。呼吸障害や心疾患の疑いなど様々ですが、搬送先の小児科医の先生からは誘発分娩が早すぎるのではないかと注文付けられることもあります。しかし、高齢出産や不妊治療での妊娠・出産が当たり前の現在。帝王切開が悪いというわけではないけど、麻酔をしてでも経腟分娩をしたいという希望で当院を選んできてくれる妊婦さんのご希望をかなえられる手段としては、37週0日の「正期産」の時期になって最も可能性の高い日に近い計画をするのが僕のできること。(よっぽどの母体合併症でなければ、早産を作ってまで小さく出そうということは考えてません)札幌市内のいくつかの搬送先の産婦人科では、陣痛発来を待って「自然に」お産を進めることで帝王切開が30-40%は当たり前になっている現状(周産期センターなので高いのはある程度は当たり前です)を、小児科医の先生はどう評価しているのかな?と思います。(マンパワーのあるセンター病院なら、帝王切開でもいいわっていうのもわかるけど)
胎児も36週過ぎた臨月以降は毎週150~300gは大きくなるし、大きくなれば産みにくいのは考えれば当たり前。麻酔を使って、子宮口が開きさえすれば何とか経腟分娩いけるかと予想しながらやってします。それぞれの施設が患者さんの最善とその施設での安全を考えて、ある程度のルールを作って分娩にしている割方で、「絶対的な正解」はないと思うんですよね。それぞれが考え、悩み、選択をして患者さんのお役に立ちたいと考えるのが「正解」に近いんじゃないかなと。
いろいろ考えてやってはいるものの、今回の様に帝王切開が連発してしまう、産科医療の難しいところでもあります。無理して経腟分娩することのリスクももちろん大きいので、正しい判断が必要になります。
どれだけ症例を重ねても、熟練してきたと感じても、修練の気持ちを忘れず、いつも最高と最悪を考えて進めていくことが大事だと感じました。
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