はだ産婦人科クリニック【札幌市/西区・手稲区】無痛分娩にも対応

産科・婦人科・小児科(新生児)・麻酔科

羽田さん通信

2022年 初日 安産のための提案

2022年01月01日 | 未分類 | 

2022年1月1日 日 吹雪laughfrown

新年あけましておめでとうございます。
2022年が明けまして、令和4年になりました。

今年の元旦は北海道は猛吹雪
飛行機は飛んでないみたいだし、列車もたくさん運休しているようです。
初日の出とかとても拝めるような天候じゃなかったけど、冬の北海道は年に何回かこういう大荒れの天気の日があるんですよね。

正月休み
出産のない日は今日を含めて大晦日と元日の2日のみ
ゆっくり年末の片付けでも・・・って訳にも参らず
ブログ更新を毎日と思っていたのですが、それも3日目には途切れてしまいました

お正月の病院は静かなので、お茶会はいつもよりゆっくりしています
大きな声では言えませんが特別な「おやつ」を用意したりして・・・
外の天気も悪いし、お茶日和だし

お茶会の話題で、最近「安産するなら・・・」って話をすることがあります。
出産したこともない男性医師の僕が言うのは不届きだ!なんて言われてしまいそうですが、客観的な立場で「もしできたなら」って話。

まず、出産って「心」がなんといっても大事なんですよ。
恐怖心をもって分娩当日を迎える人と、穏やかな決心を持って迎える人がいたら、後者が必ずと言っていいくらいに安産になると思います。

神経学的にいうと、前者は交感神経優位の状態。
つまり興奮状態や緊張状態、戦闘状態っていう感じ。
例えば、野生動物だってシマウマがライオンが近くにいて狙われているような緊張状態では出産できないと思んですよね。出産どころじゃなくていつでも逃げられる状態を作っている昼間とかね。それが交感神経が高ぶった状態。
人間でいうなら、初産なのにネットですごく痛がってる分娩の動画を見てきて怖がってる人や、周りの人にすごく痛いよ~って脅かされて真に受けちゃって緊張してる人は交感神経状態。こういう妊婦さんはちょっと痛みが始まったら悲鳴を上げちゃってパニックになりやすい。
交感神経って分娩については、子宮の収縮力を抑える方向で働くし、子宮口を開かせない方向に働きます。
だから切迫早産の治療には交感神経刺激性のある薬を使って子宮収縮を抑制したりします。(副作用に動機や震えが出るやつです)
子宮に行く交感神経を選択的に狙って抑えようとするのが硬膜外麻酔。
分娩の時に子宮口を柔らかく広がりやすくしたり、一時的に子宮の収縮力を上げたり(上げすぎてしまわないようにも気を使います)、お股の皮膚や筋肉を弛緩させたりします。

逆に、穏やかな決心をもって・・・っていう人は、副交感神経優位でありつつ、交感神経も程よく作用しているような感じ。
人間が一番副交感神経が活発な時間はなんといっても睡眠中。
好きな音楽聞いたり読書でリラックスとか、ご飯を食べた後に眠いな~っていう時間も副交感優位。
(食べ物を消化するために消化管が活動しているのは副交感神経の仕事って習ったな。)
副交感神経はおおむね交感神経とは逆の働きをするから、分娩については進める方向寄りで作用します。
(完全な副交感だけでは出産までには至らないけど~寝たままでは生まれない)

そこで、麻酔をしていようが普通分娩だろうが、安産の為には副交感神経優位の精神状態が大事だと思うのです

その具体的な方法は・・・(ここからは反対意見が出そうな内容もあるので、人それぞれ参考程度で受け取ってください)
①出産が不安になるような行動(ネット検索、出産動画、こわい体験談聞くとか)はしない!
緊張して交感神経高めて自分の首絞めているだけです。もっと具体的に言うなら出産前1週間はネット完全禁止とかね
②出産直前は夫や両親など支えてくれている人・応援してくれている人とたくさん話をして、一人で戦ってくるのではないことを心から考えること。
分娩がつらくなる人。時間がかかる人に共通することって、「誰も助けてくれないのがお産」といったような一人で恐怖と戦わなきゃいけないという思考で、調べものして恐怖に備えたり、痛みから逃げるための方法を探しまくっちゃう・・・そして結論出ずより緊張とか。
「お産はある程度いたいもの」と受け入れましょう。
でも夫が、実母が、兄弟が応援し、担当医や助産師が何とかうまく出産できるように考えて一緒に頑張ってくれるはず。当院なら良いタイミングで硬膜外麻酔をして痛みを和らげたり(痛くないとは言いませんよ)
③僕だったら陣痛が来たら数字を数えます。
分娩中、産婦人科スタッフは分娩監視装置でそばにいなくてもモニターで観察しているのが今のお産のスタンダードです。モニターを見る限り、陣痛の持続時間って20秒から40秒くらい。誘発剤なんかを使っていたらちゃんと波が来て型通りの陣痛が来ます。つまりどんなに痛くても30秒前後しか持続しないのが陣痛。30秒の後には休み時間が来るのです、
痛がって興奮して大騒ぎしちゃう産婦さんは、痛くない時間も痛い「ような気がする」と言ってパニックになってしまいます。でもモニターで観察していて間欠はあるし、陣痛が5分も10分も続いているなんてことはないのです。(そんなんことがあったら胎盤に異常アリとか問題が起こっているかも)
だから数字を数えてその痛みの持続時間を観察し、次の休みを期待するかな。
④分娩進行中にスマホを手にしてはいけないと思います。
スマホとかネットって、夜中に見ても目が覚めるでしょう。それは交感神経が刺激されるから。つまり生まれない方向に行くと思います。個人的には陣痛の測定アプリとかあるらしいけど触れない方がいいと思います。数字を数えながら陣痛に集中をお勧めします。
⑤陣痛が起きている最中は家族はそばにいない方が早く生まれる (娩出時の立ち合いは別ですよ。陣痛中ね)
優しい夫や実母さんが、痛がっている産婦さんに、かいがいしくお世話をするシーンをよく見かけましたが(コロナで減りました)、陣痛に耐え、集中している産婦さんに、甘い言葉は禁物。一番言ってほしくないのは「痛いの?」「大丈夫?」という外野からの同情ですかね。心が折れそうな産婦さんに「頑張れ!」「俺がついてるぞ!」とか、実母からの「これぐらいまだまだ!」とかいう前向きな応援団はプラスに働く印象があります。
⑥妊婦さん自身が通っている病院を信じてください。
その病院も家族同様、あなたの出産を心から応援し手助けしたいと思っています。身近に感じるかもしれない「(ネット)情報」に惑わされないでください。何よりも顔の見える関係の医療スタッフに質問して、不安を取り除いてもらうことが大切だと思います。
(もし病院と相性が悪い、信じることができないなら他の病院へ移ることも選択肢かもしれません。)

本当に出産に間近に接して、新しい家族の誕生って素晴らしい瞬間だと思います。
でもそれには母になる「心」がとても大切で、家族のありがたさや、一人ではないことに気づくことで、「安産への心」になっていくのだと思います。
情報化社会で、正しい情報だけでなく、不必要な情報や、マイナスの便利さが溢れている現代。
雑音が多く、心を保つことが難しいかもしれませんが、何よりも家族(チーム)を大切に思い、小さな方法論は述べましたが、みんなで新しい赤ちゃん(チームメイト)を迎える気持ちが安産にとって一番大切なのではないかなぁと。

新年早々、長々と書いてしまった・・・

今年もよろしくお願いします

“2022年 初日 安産のための提案” への6件のフィードバック

  1. はな より:

    妊娠してもいないのに情報ばかり集めては不安と恐怖と体調不良になってました( ; ; )
    はださんのブログ見て余計な情報を集めない!検索しすぎない!と決めました…
    妊娠したら遠方ではありますが、はださんのところでお産したいと思っています‼︎
    ブログ楽しみにしてます^_^

    • hadasan より:

      はなさん コメントありがとうございます。
      当院をご指名いただけたら、できる限りご期待に応えられるようサポートさせていただきたいと思います。
      これからの明るい未来を願っています。

  2. smgcy より:

    羽田先生、お久しぶりです!
    昨年の8月にそちらで息子を出産しました。
    その節は大変お世話になりました。

    長文失礼します。ブログを読んで居ても立っても居られず初めてコメントしました。

    私も妊娠期間は寝る間も惜しんで出産についてネット検索、動画検索の日々で、幸せなはずのマタニティライフはどん底でした。笑
    妊娠後期に入ってからは寝不足とストレスで食事も摂れなくなり、先生の仰る通り自分で自分の首を締めていたと思います。
    採血・点滴で騒いで、検診の度に不安と恐怖で涙が溢れて、先生や助産師の皆さんを困らせてしまっていた妊婦だったと思います。

    出産前の入院中、お茶会でこのブログの内容と同じことを話してくださり、心を入れ替えてお産に臨むことができました。
    特に③と⑤に関しては私にとって効果てきめんで、スムーズにお産が進んだのだと思います!出産を控えてる友達にもこの私がオススメしています。笑
    不安でどうしようもない妊婦さんが、このブログを読んで少しでも安心できたら…と願うばかりです。

    息子は5ヶ月になりました。
    体重も9.95Kg(笑)とスクスク成長しすぎており、毎日本当に大変ですが、出産前には想像できなかった幸せすぎる日々を送っています。
    過剰なネット検索もやめました。
    先生と出会えていなければ、育児に関しても寝る間も惜しんでネット検索の日々で大変なことになっていたと思います。
    羽田先生、助産師の皆さん、素敵な経験をさせていただいて本当にありがとうございました!
    第二子を授かることができましたら、またぜひよろしくお願いいたします。
    ご多忙とは思いますが、体調を崩されませんようどうぞご自愛ください。

    • hadasan より:

      smgcyさん コメントありがとうございます。
      読んでてsmgcyさんの入院・出産を思い出していました(^_-)-☆
      初めての出産に臨んで不安のない人はいないと思います。
      ですが、その根源を探しに行くとほとんどが、何らかの情報による妄想だったり、自分で作り出した恐怖心だったりしますよね。
      smgcyさんは心を整理して。とても上手に出産に臨めた患者さんとして心の残っています。
      子育ても楽しくいやっていますか!?
      次の妊娠・出産もお待ちしています!!(^^♪

  3. ジョー より:

    こんにちは。
    以前、お腹の赤ちゃんがいつもは痛いほどに動いているのにある日ピタリと胎動を感じない日があり、「不安なことはネットではなく直接相談してね」という先生の言葉を信じ受診したところ、赤ちゃんは元気でしたが、「お腹の中でもしも赤ちゃんが死んでたとしても、出してあげることしかできないのだから、多少早く病院に来たところで意味がない」という言葉を投げかけられました。看護師さんやクラークさん、もう一人の先生など複数名いらっしゃる前で、さらに「そんなに不安なのは精神的な病気」と続けられましたね。初産の不安は出産時だけではなく妊娠時からずっとなのですが、その「心」に寄り添う病院ではないと感じました。
    医療の側面から考えると、確かに「子宮内での胎児死亡は救いようがない」のは事実だとは思いますが、その言葉を不安で受診した患者に対して仰られる意味はなんでしょうか?
    それが「心」を大切にする病院のやることでしょうか?

    転院した先では、お腹の中の子をとても大切に考えていただき、無事に出産しましたが、日々子を大事に思えば思うほど、このエピソードは許し難いものになっています。

    貴院は無痛分娩に力を入れていらっしゃることから、おそらく不安傾向の強い患者さんも多いのだと思います。不安と戦いながら、大事な我が子を守り抜くために必死な長い長い妊娠期間に、二度と私と同じ気持ちを味わう患者さんがいないことを祈っています。

    • hadasan より:

      ジョーさん コメントありがとうございます。
      ジョーさんを紹介した病院から、ジョーさんが無事に出産されたとのご報告もいただいていました。おめでとうございます。
      転院先の病院が、良い病院で良かったです。
      僕が話した内容で気を悪くされているようですが、申し訳ありません。
      たくさんの患者さんを診察させていただいていて、「赤ちゃんが動かない」「胎動が少ない気がする」との訴えで来院されることは珍しくありません。ただ、それが毎週であったり、「胎動が少ないのが不安だ」といった訴えが繰り返される場合には、不安障害やうつ状態などの「精神的な病気」を疑うことは間違っていないと思います。その場合、早くに精神科医の介入などの対処をしなければ悲しい結末になってしまうケースもあります。(昔、個人的な経験でもありまして)
      「子宮内での胎児死亡は救いようがない」のも事実ですが、頻度は23週から28週の単胎では1000の妊娠に2~3例くらいです。また、そういった悲しい事象が起こったとしても、予期できたり、防げるケースの方が極めて少ないのです。
      不安に支配された、妊婦さんは自分を責めてしまったりすることも多いので、妊娠・出産という先の不確かな時に、「過度に不安を感じることなく、どのような経過をたどっても受け入れる気持ちが大事」とお伝えしたつもりですが、ジョーさんには伝わらなかったようです。
      診察中の言葉のやり取りで、当院(僕)とは合わないと感じて転院されたことは、僕の不徳の結果と思います。
      ジョーさんにとって当院が安心できる病院ではなかったことは残念ですが、良い病院に巡り合って無事に出産できたことを、僕は心から良かったと思っています。
      子育て頑張ってください。

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