はだ産婦人科クリニック【札幌市/西区・手稲区】無痛分娩にも対応

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羽田さん通信

無痛分娩は高齢初産の分娩方法の選択肢を広げるか

2021年01月30日 | 未分類 | 

2021130日 日 雪laugh

 

1年で一番寒い時期を迎えた札幌
今日は一日中氷点下の気温で寒さも季節通り
ただ数日前にはに日中が6℃で「春か!?」と思うような日もあって・・・
そういえば日も長くなったし、春は少しずつ近づいてきているんですよね

 

今年はコロナ禍で歴史あるさっぽろ雪まつりが中止だそうです。
コロナパニックが始まって、早くも1年になろうとしていますが、本州の大都市圏では緊急事態宣言が続き、社会の何となく重苦しい空気はなくなりそうにありません。
前々から言っていることですが、経済ののみならず人間性まで否定しているような今の社会に不安と不満を感じずにはいれません

 

そんな1月で印象に残った出産について

 

昨年9月道東の中標津町に住む妊婦さんOさんが分娩希望とのことで来院されました。

ご実家が札幌市内の東側でちょっと遠いけど、里帰りで、無痛分娩を探してこられたとのことでした。
初診時の問診票を見て、年齢欄に45歳と記載されてやや驚き、しかも全くの初妊婦さん!
お元気で順調そうな様子で、見た目には実際のお歳よりはだいぶ若く見え、お話を聞いていたら今回の妊娠が自然に授かったというから更に驚きました!!
近頃の高齢妊婦さんに占める不妊治療の割合って結構高いので・・・

32週くらいまでは自宅に近い釧路の病院で診てもらって、そのあと里帰り後に当院へ通院してもらう計画にしました。

 

高齢妊娠の一般的なリスクは

妊娠中、初期に見つかる有名な異常としては染色体異常の割合が多いことでしょうか?

でもその他にも、子宮筋腫や内膜症・腺筋症といった子宮や骨盤内の婦人科疾患の合併が多く、そのせいで流産になってしまったり、妊娠の途中で妊娠終了を考えなければいけないことに時々遭遇します。

また、身体的には若い人と比べて動脈硬化などの状態変化が生じ、妊娠高血圧症候群や妊娠糖尿病の割合が高いとか、悪性腫瘍や血液疾患・膠原病などの全身疾患の合併で妊娠自体が難しいことも・・・。

骨格的にも関節の硬さや皮膚の進展性の低下などの変化も分娩時に影響することは否定できません。

さらに、精神的な一面も、若年者に比べ知識や情報が多いこと(最近はネットで調べすぎた若い妊婦さんも多いか・・・)で、分娩への不安や恐怖を募らせてしまい、分娩の進みが悪くなってしまうといった一面も一般的な高齢出産では言えると思います。

そして、出産を取り扱っている者として一番お会いしたくないのは分娩間近や最中に常位胎盤早期剥離といった「事件」も高齢出産に多いと実感しています。

そんなこんなで、どうしても帝王切開率が高くなし、高齢妊娠はハイリスクだと言えます。

 

今回のOさんについては、それらのリスクを思い浮かべながら、12月からは当院で経過をみせてもらいました。
妊娠経過は順調で、
臨月に入っても子宮頚管の所見も悪くなく、胎児発育も順調に来ているので、緊急帝王切開にも備える意味で、硬膜外麻酔を留置した状態で経腟分娩で頑張ってみましょう!とお話しました。

 

いざ、当日。

372日の午後に入院してもらい子宮の入り口に水風船をいれて、じっくり子宮口を開く作戦にしました。夜のうちに水風船は抜けて、翌朝計画通り子宮口は4㎝開大。
陣痛促進剤を少しずつ増やしてお昼には痛みが乗ってきて、硬膜外麻酔を留置。
緊張をとるために少し鎮静剤を使用して、目が覚めたらもう少しで全開というところでした。
麻酔で痛くない状態なので用手的に子宮口全開に。

軟産道の硬さは予想された通りで、なかなか力んでも赤ちゃんが降りてこないし、赤ちゃんの心音がくるしいサインを出し始めて、子宮底圧出法と吸引分娩。
さらに当院では少ない会陰切開を併用して、午後2時半過ぎ無事経腟分娩となりました

産後は会陰から腟壁の傷が大きくて縫う時間が結構かかりましたが、Oさんも元気でした。

産後はすこぶる元気で5日目には母は無事退院。赤ちゃんは黄疸の治療で1日延長でしたが翌日元気にお迎えに。

 

出産は100人妊婦さんがいれば100通りだと思います。

今回は当院7年ちょっとの中で最高齢の初産の妊婦さんでした。

無事に元気な赤ちゃんを産んでくれてよかったし、いろいろな事態に備えて準備はしていたけど、何事もなくてよかったというのが率直な思いです。

ただ、ハイリスク分娩の備えに、硬膜外麻酔を使えれば、高齢出産の出産方法を選択する幅は広がるんじゃないかな?と実感するお産でもありました。
(高齢出産のみんながOさんのようにうまくいくわけではありません

 

立派に出産を乗り越えられたOさん、子育て楽しんで、頑張ってくださいね

“無痛分娩は高齢初産の分娩方法の選択肢を広げるか” への2件のフィードバック

  1. 野上良美 より:

    ご無沙汰してます。
    6月と9月にお世話になった野上です。
    その節は本当にありがとうございました。
    先生のお陰で体調はすこぶる良いです。
    あの後、子供がほしい気持ちと不安な気持ちの葛藤があり、とても苦しんでました。
    (不安というのは、コロナは関係ありません。自分が高齢なので、きちんと育てられるか?とか、そういうものです)
    しかし、1/30の羽田さん通信を読んで、もう一度妊活をしてみようと思いました。
    先生の病院は、まず先生が素敵で、看護師さんも優しくて安心できました。
    毎日、大変なプレッシャーで先生のお体が心配ですが、もし子供を授かる事ができたら先生にお世話になりたいです。
    よろしくお願いします!

    • hadasan より:

      野上さん コメントありがとうございます。
      お元気そうで何よりです。
      出産は誰一人として同じ経過、同じ痛み、同じ結果にはならないと思います。
      一人の人の妊娠であっても、毎回違うものです。
      苦痛や困難が伴うものではありますが、乗り越える心と体の準備があれば願いが叶うときがあるのではないかと思います。
      無理しすぎないよう、平常心でよいお知らせが来ることをお祈りしています。頑張ってください(^^♪

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