はだ産婦人科クリニック【札幌市/西区・手稲区】無痛分娩にも対応

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羽田さん通信

胎児外回転術

2024年03月31日 | 未分類 | 

2024年3月31日 日曜日 晴れ

早くも年末。晴れた清々しい早春ですが、風が強い。3月末になってようやく雪解けが進みましたが、日陰はまだ冬かと思う気温。北海道の春らしい1日です。

今日は朝から年度末のしめきり書類に追われています。通常業務は今年も例年にもれず、できるだけ早生まれにはしたくないなんて声も聞こえていたりで静か。昨日の分娩停止の緊急帝王切開と早産の急な超安産で今月はおしまいです。

今月のお産の中で2件の帝王切開がありました。今年4件目だから、今のところ4%くらいの帝王切開率です。

世の中の帝王切開率が大病院で27.4%、個人病院で14.7% 全体で21.6%なんていう2020年9月のデータも厚生省調査で公表されていて、最近の日本の現状に近いのかと思います。当院ではここ3年間4.1% 4.4% 3.0%で推移していて、無痛分娩下の管理ということもあって低い数字が続いています。(帝王切開率が低けりゃいいってもんではありませんよ)

患者さんの中で、前置胎盤や双胎妊娠、重症高血圧、不安定や未治療の精神疾患の合併妊娠、BMIで評価した高度肥満などは、産婦人科と小児科しかない(麻酔科は別として)個人病院である当院での分娩管理が難しいため、高次医療機関にお願いしているのですが、個人病院では管理しないところもあるけど妊娠糖尿病、高齢妊娠については小児科と相談の上で管理可能な範囲で分娩管理を行っています。ですが、他院と比べて帝王切開の割合を下げている大きな要因はTOLACと骨盤位妊娠の分娩方法までの方法かと感じています。

当院でのTOLACについては旅田bにこのブログでも書いてきたので今日は骨盤位について。つまり逆子の分娩です。

妊娠のうち3~5%が骨盤位が治らないで分娩時期にいたると昔習ったと記憶していますが、個人的な印象では妊娠中期に骨盤位でも、9割くらいは体操や鍼灸的な治療で治っている印象です。(統計取ってませんので非公式データ)ですが、妊娠9ヶ月32週を過ぎても治っていない患者さんに希望を聞いて、ご要望があれば胎児外回転術(一応手術扱い)を行って、骨盤位を修正することを行っています。

施術することで胎児が徐脈が出て機能不全に陥ったり、胎盤の剥離などの異常をきたす可能性があるとも言われ、むやみに行うものではありませんが、骨盤位が治れば経腟分娩可能なのではないかと予想される患者さんが希望している場合に行います。

去年1年間のデータを見てみたところ、外回転術を施行した患者さんは30人いました。内、外来で比較的容易に胎位修正できた患者さんが16例。手術室の準備をしてがっちり外回転術を行った患者さんが14例いました。例年に比べた多かったです。入院扱いで外回転術を施行し、しっかり修正出来て経腟分娩した患者さん9例。骨盤位が治せなかった患者さん5例。そのうち1例はそのまま骨盤位娩出術で経腟分娩できて、帝王切開は4例でした。

患者さんにお話しする時は外回転して治るのは6~7割くらいと(去年なら9/14でだいたいその辺)説明しますが、簡単に治る例も含めると25/30とも言えるのか?(すぐ直るうちのいくつかはそのまま放っておいたら治ったかもしれないから、評価が甘くなるのはダメかな(^^;)) 骨盤位すべてを帝王切開してたら割合は3%くらい上がるからだいぶ大きいのではないかと思います。

どんな分娩も安全が一番なのですが、何でもかんでも帝王切開でいいんじゃない?みたいな風潮も感じる昨今。患者さんとの十分な話し合いのもと、「無理しない」くらいに希望をかなえてあげられたら、前向きな出産にできるのではないかと考えたりします。そのためには日々精進が必須なのですが・・・

明日からの新年度は当院でも新しい助産師さんを迎えて心機一転頑張っていけそうです。

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