はだ産婦人科クリニック【札幌市/西区・手稲区】無痛分娩にも対応

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羽田さん通信

OHSS(卵巣過剰刺激症候群)

2018年08月01日 | 未分類 | 

2018年8月1日 晴れsmiley

暑い暑い毎日が続いておりますが、日本列島どうなっちゃってるのでしょう?
関東や近畿地方では40℃ですって!?
日本も熱低並みになってきたのか・・・と思う報道が続いています。

しかし、ここ北海道。
札幌市の最高気温が30度を超える日って、1年間に8-9日なんだそうです。
温暖化が叫ばれる昨今ですが、暑い暑いといっても30度越えはまだ7日までは達していない模様
体感と実数はまだ少し違うのかな?とか冷静に考えてみいました。
 
さて、先月、患者さんで個人の産婦人科クリニックとしてはなかなかお目にかからない(?)病気の患者さんを診る機会がありました。

不妊治療を受けている30代後半の女性
不妊治療のクリニックで、お薬を使って排卵誘発を行い、4日前に体外受精のための卵子を採取したという患者さんでした。
不妊治療の院長先生から「採卵後体調が悪いと話されていて、毎日腹水を抜いているが、今日は入院を希望していて、当院(不妊治療クリニック)では入院施設がないので、一晩経過観察入院をさせてほしい」という電話でした。
入院が必要かどうかは患者さんを診てから判断しますねとお返事して、受診していただくことに。

患者さん来られてちょっと驚いたのはその元気のなさ
顔色は見るからに悪く、血圧は低くて70/50前後。
歩くこともままならず、「あらっ!?」って感じでした。

多分当院に来るまでに状態悪化があったのでしょう。
そこで、これが教科書に見たOHSS(卵巣過剰刺激症候群)か!?と思い、急いで点滴路の確保し腹水覚悟の上で急速輸液、尿量チェックのためカテーテル留置、血圧サポートにドパミンという昇圧剤を持続投与し、採血!ってバタつきました
血液データ見てさらに驚き!
教科書に書いてある通りの濃縮血液、低たんぱく、腎機能障害などなど。

幸いに(?)状態の悪い時期は来院した当日がピークだったようで、大量の腹水はたまりそれを除去するという処置が必要でしたが、患者さんは日に日に元気になってくれました。(処置が功を奏した感じかな?
治療後に出ると聞く血栓症に十分注意して、約1週間の入院で元気に退院することが出来ました。
良かった~!!

不妊治療がとても一般的に広まって、恩恵を受ける夫婦は増えてきていると思うけど、今回の様な重篤な合併症に至る例もないとは言えないってこと、忘れちゃだめだよな~
不妊治療のクリニックでは十分注意して治療してくれているとはいっても、数%の人には命にかかわるような合併症もあるわけで、不妊治療の成功不成功のほかにリスクについては十分理解して受けて頂ければ、それを治療する側としては助かります
今回も救命センターや市立病院など高次医療機関に相談しながらの対応でうまくいったので良かったけど、あと少しの時間や治療タイミングのずれでもっと悪くもなっていたんじゃないかとちょっと冷や汗

不妊治療後の妊婦さんをたくさん診させてもらう立場からは、その力は大きいものだと実感できる場合がほとんどだけど、その裏には年齢によっては成功例より失敗例が多いのが当たり前だし、数は少ないけど予期せぬ合併症なんてことも稀にあります。

できるだけ安全に「(不妊治療→)妊娠→出産→子育て」の流れを進んでくれることを願うばかりです。

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