はだ産婦人科クリニック【札幌市/西区・手稲区】無痛分娩にも対応

産科・婦人科・小児科(新生児)・麻酔科

羽田さん通信

無痛分娩に対するバッシングでしょうか? Why Japanese mass media…!?

2017年04月25日 | 未分類 | 

2017年4月25日 火 曇りsad

春はようやくやってきた!
もうすぐ桜咲くゴールデンウィークの北海道

札幌市は今日の最高気温が19℃
曇り空でしたが春らしいモヤットしたあたたかさ出てきました!
本州は桜散ってるのですが日本列島長いです

さて、久しぶりのブログ更新(毎度のことですが・・・)
最近、インターネットで気になるニュースを見つけたのでちょっとお話。

「ネットは見ないように!不安をあおるだけですから!」と毎日妊婦さんに呼び掛けている僕ですが、時々見てしまいます。
そんな僕の忠告を聞いて書いたかのような驚くべきニュースが!!
先週と今日でてました。

4月19日発行の Yahoo!news で「無痛分娩で13人死亡」ってセンセーショナルなお題 J-CASTニュース
(でしたが4月25日現在「妊産婦、今でも年50人前後が死亡 横ばい状態、なぜ減らないのか」に書き換えられてました。内容もかなり変更あり。皆さんが下のURLを引いたらもっと変更されているかもしれませんが悪しからず) 
内容は
~日本の妊産婦死亡率は、厚労省によると、世界的に非常に低いとされるが、それでも最近の6年余で298人が亡くなっている。そのうち、無痛分娩で13人の死亡が今回初めて分かり、厚労省の研究班が緊急提言を行った。
日本産婦人科医会の統計によると、2010年1月から16年4月まで、全国で計298人の妊産婦が死亡していた。この6年余の死者数は横ばい状態で、毎年50人前後に上っている。死因は、子宮内などの大量出血が最も多く、続いて、血圧が上がることなどからの脳出血、羊水が血液の中に入ることで起きる羊水塞栓症などで、この3つで半数ほどを占める。
6年余で298人いる妊産婦死亡のうち、厚労省研究班の調べで、麻酔を使って陣痛を和らげる無痛分娩が13人(4%→3.75%)含まれていることが分かり、研究班が4月16日に発表した。
13人のうち1人が麻酔による中毒症状で死亡していた。ほかの12人は、大量出血や羊水塞栓症といった死因だった。研究班では、無痛分娩を取り扱う病院は緊急時に備えた体制を整える必要があるとする緊急提言を行った。
というもの(一部引用)
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170419-00000001-jct-soci
19日と25日では同じニュースなのにずいぶん手が加えられていて、ネットニュースも情報操作するんだという印象を初めて持ちました

ちなみに、日本で無痛分娩による出産数の割合は2016年で4.6-5%とか言われています。
その中で周産期死亡の4%ってことはm無通分娩しない方が死亡率が高いのではとも読める内容です。
お題からすると完全な情報操作

そして今日、4月25日は「無痛分娩で出産中に意識失い死亡 子どもは無事 大阪」 朝日新聞デジタル版
内容は
~大阪府の産婦人科医院で1月、「無痛分娩(ぶんべん)」で出産中の女性(当時31)が意識不明になり、その後死亡したことが捜査関係者らへの取材でわかった。府警は院長らから事情を聴いており、業務上過失致死容疑での立件も視野に調べている。
医院の代理人弁護士らによると、女性は1月、脊髄(せきずい)を保護する硬膜の外側に細い管を入れ、麻酔薬を注入する硬膜外麻酔を受けた。この注射の後、呼吸不全に陥り、意識不明になった。堺市内の病院に搬送されたが、約10日後に死亡。子どもは無事に生まれたという。府警は医師らが人工呼吸など十分な措置を取ったかについて調べている。
無痛分娩は赤ちゃんにほとんど影響せず分娩の疲労が減って産後の育児や職場復帰がしやすい利点があるとされる。2008年度の調査では国内のお産全体の2・6%と推計されたが、現在は5~10%ほどに増えているとみられている。
というもの。(ほぼ引用。ですが25日にはすごく書き変わってました)

http://www.asahi.com/articles/ASK4T6FQTK4TPTIL02C.html?iref=comtop_8_03

この記事だけを信用すると、局麻薬中毒かTotal spinal(全脊麻)による呼吸停止が考えられる内容です。

日本のマスコミって、一つの話題になるニュースが出たらすぐに飛びついてその関係ニュース流しますよね。
2つ目は完全に麻酔による合併症で、「無痛分娩だから」ではなく「硬膜外麻酔の合併症」であり、麻酔科外来や手術室でのこういった合併症で事なきを得た例や、大事に至ったケースとの比較ではないわけであって、あまりわかっていない記者が「トピックスに飛びついた」という内容です。
無駄に不安をあおるJapanese masmediaの典型的なニュースかな。

この記事からもわかるように、無痛分娩は増えている そうです。

実際に無痛分娩を手掛けてやっている分娩施設の長としていえることは
①無痛だろうがなかろうが、お産に絶対安全はないということ。
 僕たちのように分娩を助ける(手伝う)という仕事をしている人間はみんなそう思っているはずです
 でも一生懸命やっていても結果が悪いことはあるわけで、人間を含めて全ての生物が体験する中で「出産」が一番危険な出来事なんじゃないですかね?それを乗り越えようとしているんですから・・・
②無痛分娩は特有の合併症(全脊麻による呼吸抑制やアレルギー)はありますが、しっかり管理さえすれば妊産婦にとって有益な方法(緊急帝王切開への時間短縮が可能、比較的低侵襲に吸引分娩などの急速遂娩や鈍的頸管用手拡張などの手技が可能・・・)という一面もあり安全な分娩に対する貢献度は高いと思います。
あまり理解していない人たちがとやかく言えるほど浅い知識で語れるものではないのです (ちょっとエラそうになりましたか?

長くなってしまいました。
当院を受診してくれる人にはいろいろ説明できるのですが、このブログが、日本中で無痛分娩に興味を持ったり、悩んだりしている妊婦さんのお助けになればいいなと思って書いてしまいました。

普段は 患者さんに 「ネットあまり見るんじゃない」って言ってるんですけど・・・

“無痛分娩に対するバッシングでしょうか? Why Japanese mass media…!?” への2件のフィードバック

  1. たばた より:

    去年の九月にお世話になりました。
    最近の無痛分娩バッシング?には辟易しています!またニュースになっていました。何かの圧力でしょうか!?
    確かに麻酔の経験の浅い先生しかいないと心配ですが…それは何の病気でも一緒ですよね。
    私は次のお産があれば、また無痛にしたいと思っています!

    • hadasan より:

      たばたさん こんにちは
      無痛分娩に対するマスコミ報道は偏っていて公平性に欠けるなと思います。
      日本のマスコミ自体が一つの報道や意見に流されすぎて、あまりテレビなど見る気にもならない日が増えているような気がします。
      頑固おやじになりつつあるってことかもしれませんが(~_~;)
      次回の出産もぜひ当院をご指名ください(^^)/ お待ちしています!

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